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NSGカレッジリーグ第三期 志・未来塾 第五回 期日:平成27年9月8日(火)

第5回テーマ「リーダーって何やねん!?~人の心のつかみ方~」

講師:有限会社 志縁塾(しえんじゅく) 代表取締役 大谷由里子 先生


■講師プロフィール

京都ノートルダム女子大学卒業後、吉本興業(株)に入社。

故・横山やすし氏のマネージャーを務め、宮川大助・花子、若井こずえ・みどりなどを売り出し注目を集める。2003年研修会社の志縁塾(しえんじゅく)を設立。また大谷由里子のリーダーズカレッジをスタート。現在は人材活性プロデューサーとして年間300を超える講演・研修をプロデュースする傍ら、自らもプレゼンターとて全国での講演・研修を精力的に行っている。法政大学大学院・政策創造研究科在学中(2013~ )『笑い』を用いたユニークな「人材育成法」は、【NHKスペシャル】などメディアで取り上げられ話題となっている。

モットーは、「感じて・興味を持って・動く」人づくり!



-大谷由里子 先生

■イントロ:吉本興業から世界を見る

皆さん、こんばんは。早速ですが、今夜は何を持って帰りたいですか?これを考えることは、実はとても大切なことです。歴史上の人物には、世界を見たり聞いたり体験したりした人が多くて、その中から何かを自分のものにしていることが多いです。

私は、昭和60年に吉本興業(以下、吉本)という会社から世界を見ることになりました。「なりました」というのは、決して第一希望ではなかったからです。

今でこそ吉本は就職希望が毎年4,000〜5,000人いて、合格は4〜5人という優良企業のような状況ですが、私の就職の際は親から「ヤクザがやってるんじゃないか?」と受験を止められるような会社でした。皆さん、人間ってどこに居たかが大事じゃないんですよ!そこでどんな人と出会って、どういう未来を作っていくかが重要なんです!

入社した吉本は、今で言う「スーパーブラック企業」でした。よくこんなことを言われました。「おい、死ぬ気で働け。死なへんから!」(爆笑)

人間は、人から幸せにしてもらおうとするから上手くいかないんじゃないですか?だから、キツイ仕事の会社をブラックなんて呼ぶのかもしれません。そうじゃなくて、自分から幸せになることが必要なんです。

さて、私は吉本でマネージャーという仕事をしていました。業務でいうと芸人さんのスケジュール管理・・・などと思われているようですが、要するに売れるための戦略戦術が大切な仕事なんです。会社にいる間、私はこれをたたき込まれました。英語でいうと戦略がWANTで、戦術がHOWです。

これから世の中に出て行く皆さんに伝えておきますが、これは仕事をしていくうちにわかったことですが、「売れたいと本気で思っている人しか、売れない。」ということです。だから、「どうしたら、売れるか」ということになる。どうしたら・・・(WANT)というのが決まれば、それをどう実現するか・・・(HOW)ということになるのです。

■吉本で学んだこと

他の企業ではどうかわかりませんが、吉本では新人に大物の芸人さんを任せます。理由は、「売れ筋商品は、放っておいても売れる」からです。これは新人に優しくするためではなく、「その間に人間関係を作れ」という考えに基づいています。私はその教えに従って、現場を中心とした人間関係の構築に励みました。その中で分かったことを皆さんに紹介しておきます。

1)場を作れる人間になれ

あなたがいる「場」というのは、自分たちで作っていることに気づいてください。雰囲気のいい職場にしたければ、そういう場を作れる人を配置しなければいけませんし、逆にそうじゃない、「場を壊す人」は改めてもらうなどの必要があります。プラス思考の言葉を使い、多様な人の価値観を見つけて、それを尊重することも重要です。私のいた「お笑いの現場」は、それこそ様々な職種が各々のプロ意識という価値観を持って集合した、一種独特の場でした。そしてそこに新人で入った私は、皆さんに気持ち良く仕事をしてもらう必要があったのです。だからこそ、こういう考えを持つに至ったのかもしれません。

2)本気でやることが大事

先ほども言いましたが、「本気で売れたいと思う人」だけが売れるのです。私が担当した芸人さんの中で、宮川大介・花子さんがいらっしゃいます。この二人は、当初から夫婦漫才ではなかったことは、あまり知られていない事実なのですが、そういうまだ無名の頃から「いつか絶対に売れてやる」と、本気で頑張っていました。だから、私も「戦略・戦術」の打ち合わせを頻繁にしていました。夫婦漫才をするようにしたこともそうですし、実は、この二人は当初、近鉄バッファローズ(今のオリックス)ファンだったのですが・・・それを阪神ファンに変えてもらって(笑)。そうすると阪神が勝った日にはお呼びがかかるようになり、知名度も上がり、次第に仕事も増えていきました。

3)逃げない

「本気でやる」と少し似ていますが、ダウンタウンの二人は今でこそ大物芸人ですが、吉本興業の専門学校(NSC)1期生で、最初は全く売れない状態でした。浜田君なんて、住むところなくてクルマに住んでたんですよ!(笑)それでも、当時の大崎社長が「絶対にあの二人を売る!」と言って、ダウンタウンの二人も社長のことを信じて付いて行きました。決して逃げませんでした。お客が最初は二人でも、逃げませんでした。その二人が友達を連れてきて4人になり、8人になり、16人になり・・・そしてダウンタウンやハイヒールなどで定期的イベント「心斎橋筋2丁目劇場」を開催し、これが爆発的に売れたのです。

■結婚~独立

私は25歳で結婚して退職し、27歳でイベント会社を起こしました。その時痛切に感じたのは、「吉本を辞めても友達だと思っていた人たちが、そうじゃなかった」ということでした。吉本はなんだかんだ言っても大手企業です。周囲の人から仕事の話で寄ってきましたし、こちらから出向けば話も聞いてもらえました。ところが、独立した自分にとっては、名刺を受け取ってもらえるだけでラッキーという状態でした。

そんな時、営業のミラクルワードを発見したんです!それは、「社長さん、よかったら会社を作った時のこと、教えて下さい。」ということです。社長さんはみんな苦労人です。だから、語りたいんです。(笑)この時、「人は、他の人に話を聴いて欲しい」ということが分かったのです。

■吉本天然素材

こうして1社、2社、3社と会社を作った時のことを聴きながら、人間関係を作っていくのが100社を超えた頃、昔の吉本の人から連絡がきました。ナインティナインや雨上がり決死隊を売り出す「吉本天然素材」というのをやるから、手伝ってくれという話でした。今考えれば、まるで私が人の話を聴けるようになるのを待っていたかのようなタイミングでした。

ところで、お笑い芸人のギャラってどれ位だと思いますか?もちろん、ピンからキリまで芸人のランクによって違いますが、ギャラ自体は大したもんじゃありません。(まぁ、吉本が8割も抜いてしまうというのもありますけど・・・(爆笑))

ところが、売れている芸能人にはファンクラブというのがあって、これを運営する仕事があります。仮に年会費1,000円でも10,000人のファンが入会すれば年間1,000万円の固定収入。さらにグッズを作ればそのマージン・・・などで莫大な収入につながるビッグビジネスなのです。

さて。こういうビッグビジネス状態の売れっ子になってくると、人の幸せが気に入らない人からの誹謗中傷だって多くなります。一般の人ではなく、同じ芸人仲間で「自分が取って代わりたい」という人はたくさんいるのです。そういう状況でも、仕事をこなさなくてはなりません。だからこそ、自分自身のなかに「ブレない軸」を持つことが大切なんです。そして、「何があってもこれで成功するんだ!」という強い意志こそが自分の軸になるのです。


■阪神大震災の経験

さて、WANTとHOWで始めた会社がいつの頃からか多忙になり、MUSTだらけになっていくのを感じました。今思えば、あのまま続いていたら会社はつぶれていたと思います。そんな折に発生したのが、「阪神大震災」でした。当時、私は31歳。この経験で「昨日は、決して明日を保証するものじゃない」ことを実感してしまいました。例えば、ある街では建物が崩壊して全員死亡という状況。でも、そこから道一本隔てただけの場所では被害を免れ、普通の生活が送れているようなこともありました。

そして考えました。今のこの時は、誰かが生きたくても生きられなかった時間なのかもしれない・・・。「使命」という漢字があるでしょう?自分の命を何に使って生きていくのかということですよ。その際の心のあり方は、よく「モチベーション」という言葉で表現されます。要するに、自分が元気じゃなければ人に貢献できません。今日、見渡してみると幸いにして皆さんは元気です。そんな皆さんに持って帰って欲しいのは、「ダメな時に回復できる方法」です。

皆さん、試しに右手を挙げてみてください。次に、隣の人を見てください。さらに、隣の人と“恋に落ちて”ください。(爆笑)

これで分かることは、行動は変えられても、感情はなかなか変えられないということですよ!

■ティーチングとコーチング

私は、仕事をするなかで必要性を感じて、コーチング(Coaching)を本格的に勉強しました。皆さんは分かりますか?ティーチング(Teaching)というのは、「あーしろ、こうしろ」ということで、教師の英訳がteacherというのはそういう意味です。これに対してコーチングというのは、「君はどうしたい?そのためには何を、どうすればいいと思う?」と問いかけて相手の話を引き出す手法です。

コーチングのためには相手のことを認めて、引き出して、応援する必要があります。そして、コーチングをする側はこのスキルを人間力として持つ必要があり、そのためには自分自身が幸せでなくてはなりません。


■コミュニケーション

これまで述べたように、リーダーとなる人は、モチベーションを持続できる「場」を作って本気で取り組み、逃げずにやりきる必要があります。その際の土台となるのがコミュニケーションです。そしてコーチングの技法が、良いコミュニケーションの実現を助けてくれたりもします。

コミュニケーションの基本は、相手との共通点を見出して膨らませることです。人間は年齢を重ねると防衛本能が発達してしまって、「分からない」などという言葉で自分を守ろうとします。けれど、この「分からない」という言葉は思考を止めてしまうキーワードでもあります。

例えば上司から「◯◯さんの電話番号、分かる?」と聞かれて、「分かりません」と答えるシーンがあります。でも、上司の本心は番号が分かる・分からないを聞きたいのではなく、電話番号を聞きたいのです。

もう一つ、コミュニケーションの例です。女性に「どうして、かまってくれないの?」と聞かれた時、男性は「仕事が忙しくて」などと正直に理由を答えがちです。でも、女性が期待しているのは「ごめんごめん、今度埋め合わせをするよ」というフォローだったりします。

相手のことを認めて尊重すれば、言葉の裏にある本当の望みも理解できるようになります。

■二度目の震災経験

さて、そんなある時、私は自分の会社に自分がいなくても問題なく運営されているという、嬉しいような寂しいような現実に気づいてしまいました。そこで3日間無断欠勤してみたのですが、問題なく業務が進み、誰も私の欠勤に気づきませんでした。(笑)

これをきっかけとして、新しい夢である「自分の想いを人に伝えることのできる人を育てる」という目的のために、志援塾という会社を立ち上げました。

そんな折、2011年3月11日の東日本大震災。信じられないことに、私は仙台にいました!余震も続く中で移動しながら、何かをやり残して死ぬこともまたリスクなのかもしれない・・・という考えが浮かび、その後に法政大学の大学院で学ぶことを決意するに至りました。人は、学ぼうと思えばいつでも学べると、私は思っています。今は、コンテンツ・ツーリズムについて勉強していて、今日はマンガ・アニメ情報館や日本アニメ・マンガ専門学校も見せてもらって本当にラッキーでした。


人の命なんて、はかないものです。最近、人生の縦の長さは神様が決めているのだと思うようになりました。でも、横の太さは自分で決められます。皆さんには、未来があります。今日、私と会ったことやお話したことを、リーダーとして活躍しながらどこかで思い出してくれたら、こんなに嬉しいことはありません。元気でがんばってください。

ありがとうございました。

■編集後記

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人が共存する社会で、みんなが元気で活躍できる「場」の基本となるコミュニケーション。そしてその土台となり得るコーチング。

中島みゆきは、その楽曲「ナイトキャップ・スペシャル」で、女性同士の友情という場面を借りてこう書いている。



 片付かない気持ちの話 男友達に打ち明ければ

 答や指示を急ぐあまりに なお散らかしてくれるばかりね

 こんな夜中に必要なのは 普通にそばにいてくれること

 たしかにそれもありかもねって そばで思ってくれること

 さんざんな真夜中には 女友達はいかが

 ナイトキャップ 特別製の寝酒になってあげるわ

 お互いさまでしょう



ナイトキャップとは、本来寝る際に身につける帽子を指すが、これを転じて就寝前に飲む「寝酒」のことも意味し、そういう名前のカクテルも存在する。

一方的な話ではなく誰かが話してそれを認め、尊重する。それに対する相づち。これがナイトキャップとなるような関係は、ある意味で一番の信頼関係かもしれない。

学生諸君。リーダーたるものは独善・独走ばかりではダメなのだ。周りを見れば、君の未来を支える人がいるのだ。認めてみよう。尊重してみよう。きっと、今までとは違う、信頼関係を土台とした場が実現できるのだ。