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NSGカレッジリーグ 第四期 志・未来塾 第7回 期日:平成29年1月24日(火)

第七回テーマ:「世界に羽ばたいていけ」

講師:作家/聡明舎 代表 喜多川 泰 先生


■講師プロフィール

作家/聡明舎 代表 喜多川 泰 先生


1970年生まれ、愛媛県出身。東京学芸大学卒業。1998年に横浜で、笑顔と優しさ、挑戦する勇気を育てる学習塾「聡明舎」を創立。人間的成長を重視した、まったく新しい塾として地域で話題となる。2005年から作家としても活動を開始し、『賢者の書』にてデビュー。2作目となる『君と会えたから…』は9万部を超えるベストセラーとなった。その後も、『手紙屋』『手紙屋 蛍雪篇』(いずれもディスカヴァー・トゥエンティワン)、『「福」に憑かれた男』(総合法令出版)、『心晴日和』(幻冬舎)など次々に作品を発表。2010年に出版された『「また、必ず会おう」と誰もが言った。』(サンマーク出版)は12万部を突破し、2013年9月には映画化され全国一斉ロードショーとなる。翌2014年には台湾でも劇場公開された。その後も『母さんのコロッケ』(大和書房)、『スタートライン』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)と続き、最新作の『秘密結社Ladybirdと僕の6日間』にて全16作品となる。現在は多数の作品が台湾・韓国・中国・ベトナムでも翻訳出版され、その活躍は国内にとどまらない。執筆活動だけではなく全国各地での講演や、大人が学ぶ「親学塾(しんがくじゅく)」も全国(新潟では2014年度開催)で開催し、中高生から大人まで幅広い年代に対して、よりよく生きるための希望の種を蒔き続けている。

ー喜多川 泰 先生

■イントロダクション

今年一年、いろいろな講師が登壇して皆さんにお話をしました。どうでしたか?第一回の時、僕はこの場で「種」という話をしました。種そのものは、貰って嬉しいものでもありませんし、「実」を貰うほうが嬉しいに決まっています。種を貰って実の美味しさを得るには、持って帰って育てるしかない。「いいものを貰った」と喜ぶ人もいれば、その場で捨てて帰る人もいる。ところが、育て始めたら、数年で何らかの実を得ることになるのです。

例えば人生に行き詰まった時や苦しい時、志・未来塾で自分が取ったメモの言葉に救われるかもしれない。また、自分が貰うだけでなく人にあげられるものを得た人もいるかもしれません。人に与えられるものがあって、初めて皆さんは仕事ができるようになります。

この塾は「志・未来塾」という名前がついていますが、志と夢は違います。夢は憧れからくるゴールのイメージでであるのに対して、志とは自分の一度しかない人生を何に使って生きるか、その道をどう歩んで行くかという心のあり方を言います。だから、志を持って未来に進むことの大切さを学ぶのが、この塾なのです。

志や夢というのは、持つことが大切かというとそうではありません。実現に向かって小さな一歩を踏み出すことは、ちょっと勇気のいることです。でも、踏み出す・踏み出さないの小さな差(微差)が積み重なれば、全く違った人生と言える程の大きな差につながり、夢の実現や人を幸せにすることにもつながるのです。

皆さんの人生に大切な微差が何なのか、僕には分かりません。でも、例えば電車の中で人を見ていると、ほとんどの人がスマホでゲームをしています。「素晴らしい人生にしたいか」と問えば、全員がそうしたいと答えます。でも、本当にそう思っているのかと疑問に思います。たとえば通学時間でゲームをする2年間と、本を読んだ2年間は人生が大きく違ってきます。本当に素晴らしい人生を得たいのなら、このような自分のちょっとした行動を変えることが必要なのですが、一方でこれはかなり難しいことでもあります。

■器を育てる

自分の目の前にある、受験や就活といった「人生の壁」は、いつも過去最大となって襲ってきます。いつも過去最大ということは、数十年後の自分から見れば、最小の壁だと見ることが出来ます。例えば今、僕の娘が九九を覚えられなくてイライラしています。皆さんも、人生のどこかで九九を覚えたでしょう?覚えた時は、この大変さが過去最大の壁だったはずです。でも、今考えてみれば「あぁそんなこと」と思える程度の経験となっているはずです。

これからの人生、壁はどんどんやってきます。将来の人生で「経験」と思えるようになるということは、壁を乗り越えること自体よりも、乗り越える自分のあり方の方が大切だということになります。例えば人に全部頼り切ったり、お金で解決したりする(ずるい)やり方は、これからの自分の成長に有効とはいえません。

僕は、教育の目的を「器を育てる」ことだと思っています。人の人生に起こる幸・不幸は、人によって大きくは変わらないと思います。だから、器が大きければ困難に直面しても動じなくて済むし、乗り越えていけるのです。

では、器はどうすれば大きくなるか。概念で言えば子供の器は小さくて、小さな困難を乗り越えて経験を重ねることで、器は大きくなります。だから、目の前の試練は苦しむためではなく、自分の器を大きくするためにあるのです。そして、困難を乗り越えた後に器の大きくなった(=成長した)自分がいるのです。

この、困難に立ち向かう人に寄り添える幸せ、理解してあげられることの幸せが、教育という仕事の醍醐味だと僕は思って仕事をしています。

■心の中の天秤

人生の壁に直面したと思ったら、心の中に天秤を思い浮かべてください。片方に乗り越えたい壁や実現したいことを乗せて、もう片方に必要な分だけ努力を乗せます。これが釣り合った時に、実現すると考えるのです。釣り合わなければ実現しない、もしくは実現しても嬉しくないという状態になることだってあります。

■ふさわしい人になる

大きな夢を持つことは、素晴らしいことです。でも、それに見合う努力が伴っていなければ、心が折れてしまったり、その結果で人生が変わってしまったりします。才能と幸せは必ずしも結びついていないのです。豊かな才能を持つ人でも、簡単に人生を狂わせてしまう例がたくさんあります。だから、自分の器と不相応なものを手に入れてはいけません。むしろ、大きな夢を持ったら、自分の器を大きく育てることから始めなくてはなりません。

今、世の中の価値観の基礎が損得中心になってしまっていますが、損得じゃない価値の基準を自分の中に作り上げる必要があります。僕の場合、片道何万円、何時間とかかっても、僕は北海道に行って植松先生に会いたいと思いました。別に、行かなくても植松先生の講演はネットで観れるし、ロケットも店で材料を買えば作れるでしょう。でも、会いに行って一緒にロケットを作ることが僕の価値基準からすれば、はるかに幸せだった。損得じゃなくても、いろんな価値観があることを知って欲しいです。そして、損得にとらわれない、自分の価値基準を作り上げて欲しいと思います。

さて、この中でこれまでの自分の人生が過酷すぎたと思う人、あるいは恵まれすぎだと思う人はいますか?いませんよね?人は、環境に適用するようにできていて、皆さんも各々が育った環境に適応したのです。宇宙飛行士は、無重力の環境で筋力が大きく低下します。これは、普段の地球での生活が重力に適応して、いわば「無意識に、重力に逆らう筋トレをしている」状態だからです。

正直に話すと、僕が大学に進んだのは楽そうだと思ったからです。そして、楽しい大学生活に適応してしまって社会に出るのが怖かったです。そんな僕でも、今は誰よりも早く出社して、誰よりも遅くまで仕事をします。自分の進むべき道を見つけ、実現に向けて一歩ずつ進んで行けば、自分の価値観を作り上げることができ、その環境に適応できる自分に気づくことができるはずです。人はそのようにできています。

さて皆さんは、実現したいことにふさわしい器を持っているでしょうか。まだ小さい器なら、それを大きく育てることから始めてください。大きな器を持つ努力は大変でも、人間はそれに適応する力を持っています。

■一日区切りで生きる

世界一のパティシエになると決めたら、先程言った心の天秤にそれを乗せてみます。そうすると、それに見合う努力をする必要があります。ところが、ちょっとずつ努力を乗せてみてもすぐに結果が出ないとき、人は途中で「無理だ」と思ってしまうものです。でも、安心してください。成長とともに「努力を乗せるための道具」は大きくなるものです。成長のグラフは、直線ではなく指数関数的な曲線になるものです。

塾の生徒に、よくこういう話をすることがあります。「ダメかもしれないという考えは、間違っていることが多い。今日一日だけ、頑張れ。合格する人がどんな人かイメージして、そいつと同じ一日を過ごしてみろ。」一日だけやっても無駄だと思うかもしれませんが、一日でもやれないことは、これから先もやれません。逆に一日できれば、小さな感動や喜びという自分を刺激する何かが生まれます。そのかわり、真剣にやる必要がありますけどね。

実は、自分を受け入れられない・自分が嫌いだという感情の正体は、自分自身への絶望です。だから、自分がキツイと感じたことを一日だけでもやれたら、自分にちょっと感動するのです。単純に我慢をしながら天秤に努力を乗せるのではなく、今日一日に集中して生きてみれば、いい結果が見えるのです。

■困難な約束

これから就職する会社や地域で必要とされる「人財」と呼ばれる人々は、誰かと交わした約束を守ることのできる人達です。しかも約束の守り方が違います。どう違うかというと、ちょっとだけ相手の予想を上回って仕事をするのです。約束よりも一日早く、約束よりもちょっと多く、約束よりもちょっと広範囲といった上回り方です。これを、全ての仕事で実行して相手を少しずつ驚かせれば、感謝が積み重なって周囲はその人のことを「大切な財産」と位置付けるようになります。

子供は約束を破ってもいいと思っている(または、破ることに抵抗を感じない)存在です。ところが、大人になると仕事の約束を破ることは相手の仕事に影響し、お金に影響します。だから、納期や仕様という形で人との約束を守るようになります。

ところが、自分との約束はどうでしょう。人に影響しない約束ですし、それを管理するのは自分だけだから、大人になっても(あるいは、大人になったときのほうが)自分との約束は大変です。でも、これを守ることができるようになれば、大きな成功を手にすることができます。

これから社会に出て、自分との約束の内容を見つけられずに困ったら、会社の中で「人財」とされる人を見つけて、その人と同じ努力をしてみてください。大変ですけど、とりあえず一日だけやって、「できた」ことを実感してみてください。そしてそれを続けることを自分と約束すればいいのです。

■消えたお天道さま

最近、「お天道さまが見てる」という言われ方をされることが、少なくなっているようです。誰も見ていなくても必ずそれを見ているお天道さまという存在があって、お天道さまに恥じない生き方をしなければならないという戒めです。これがなくなったかわりに、先ほども言った「損か得か」という価値観の方が台頭してきてしまったようです。

僕はこの「お天道様が見てる」という教えに、何度か救われました。人生のなかで、いわゆる「良くない道」に進みそうになったことが、僕にもありましたし、皆さんにもあったでしょう。誰も見ていないけど、やっちゃいけないことをやらずに済んだのは、「お天道さまが見ている」という言葉のおかげでした。なぜこんな話をしたかというと、皆さんにもそう思って欲しいというよりも、自分との約束を守るって、そういうことだと分かって欲しいからです。

元プロ野球選手である清原氏のニュースはショッキングでした。彼は、素晴らしい才能を持っていたけど、それが必ず幸せの約束ではないということです。誰も見ていなくても正しいことを続けること、自分との約束を守る正しい一日の積み重ねが、幸せな人生につながるのです。自分との約束を守るための方法は、人それぞれでいいと思います。僕らの世代は、それが「お天道さまが見てる」という教えだったということです。

■自信の大切さ

人生で直面する壁への立ち向かい方は、できる・できないという思い込みからスタートします。多くの人は、結果を出して満足を得ようとします。ところが、これでは一度でも結果が出せなかったときに、自信をなくして折れてしまいます。では、どうすればいいか。とりあえず、できると思い込む一歩からスタートして、短期的な結果を意識せずに積み重ねることです。

約束を守れない人を信頼できないように、自分との約束を破れば自分を嫌いになってしまします。逆に、自分との約束を守り続ければ自分を信頼できるようになって、それが成果を生むのです。このとき、約束が大きなものである必要はありません

■恋するチカラ

ここまで聴いてやって見ようと思えた人は、あとは一歩を踏み出すだけです。そう思えないひとは、夢や目標への「恋」が足りないのです。

中学生くらいのとき、好きな人と一緒に下校した経験、ないですか?家が反対方向だったり、距離が遠かったりすると、逆に有り難かった思い出、ありませんか?これは、面倒や大変なことにワクワクしたという、分かりやすい例です。学校でも、仕事でも、同じことができるはずです。本当に手に入れたいものに向かうプロセスは、大変なことにもワクワクできるのです。

■目指すのは日本一

せっかくお会いすることができたので、これから社会に出る皆さんには、どんな仕事をするにも日本一を目指して欲しいです。ドアマンでも、パティシエでも。ミクロな観点でみれば、コピーでも掃除でも、日本一を目指して欲しい。日本一のドアマンなら、日本一のパティシエなら、どうするかを自問して、仕事をしてください。

毎回、最終回には伝えることですが、20歳のときにこれだけの一流に触れる経験をした人は、日本でもそう多くありません。これらの経験を活かせば、プロフェッショナルとして日本一を目指せますし、大きな幸せを生むことができるはずです。ぜひ、ここで貰った種を大切に育てて、素晴らしい人生を送ってください。ありがとうございました。

■編集後記

これまで自分は、どんな実を手に入れたいと思って生きてきただろうか。悪い道へは進まないまでも、モノや情報があふれた現代社会だからこそ、資格や就職というプロセスばかりが目に入り、人のプロセスが気になり、損と得を天秤にかけて楽をするための生き方に流されがちだ。

第二次大戦中のある外交官をテーマにしたミュージカル「SEMPO~日本のシンドラー 杉原千畝物語~」に、中島みゆきが提供した楽曲「翼をあげて」では、こう書かれている。

  恐れは消えはしない 生きる限り消えない

  迷え 選べ 己が最も畏れるものを 選べ


  翼をあげて 今ゆくべき空へ向かえ

  翼をあげて 向かい風の中


  失うものを思っていた 転ぶことを思っていた

  背中では知っていた きっとゆくことを


人生で直面する壁は、一見すると過去最大となって襲ってくる。壁が逃げたり無くなったりすることはない。たとえ目の前の壁から逃げても、違う壁に直面する。

学生諸君、その壁にきっと立ち向かうであろうことを、実は君たち自身が知っているのだ。だから、その壁を乗り越える道を選べ。志を胸に抱いて、今行くべき空に向かって、翼をあげるのだ!その向こうに、素晴らしい人生が待っている!