12月6日、第2回の在校生未来塾として、「新潟総踊り」の総合プロデューサーである能登剛史さんを講師として招き、約90名の在校生を対象としてご講演いただいた。
演題は、「新潟愛〜次の世代のために今できること〜」
新潟総踊りといえば、すっかり新潟の祭りとして定着した感じもするが、講演で改めて振り返ると、開催されるようになってまだ10年。数多くある日本の祭りとしては、新しいものである。 しかし、能登氏が会場で上映された祭りの動画では、歴史の浅さなどが吹き飛ぶほど熱気にあふれる迫力の踊りと、腹に響く重低音が表現されていた。観客動員数32万人、参加者数1万3千人の規模と聞くと、 これからの新潟を支える「勢い」を、驚きと共に感じてしまう。これほどまでに熱い祭りが、新潟にあるのか−−−。ましてや、フランスにまで事務所を構え、新潟から祭りの文化、踊りの文化が発信されようとしているとは、 知らなかった人も多かったのではないか。
能登氏は、新潟総踊りを立ち上げるために、仕事をやめ、クルマを捨て、自宅にパソコン一つから始めることになったのだそうだ。そこに、同じ思いの人が集まり、年月と共にその思いの集まりが大きくなって、今の規模があるという。 また、能登氏は「人が集まるところに、必ず"祭り"が生まれる」とおっしゃる。それは、人が集まることによって、そこに同じ思いの人を見出すことができ、その思いを形にすることで、より多くの"同じ思い"が集まるということなのであろう。
もう一つ、感銘を受けた話があった。人は、生まれた場所、育った場所、暮らした場所で個性を形成する。すなわち、自分のいる場所が、大きく自己の形成に影響するのだそうだ。 「自分は何者か?」と、自分に問うたときに、どこで生まれてどこで育ったかを考えれば、自ずと答えが見えてくるという。これを能登氏は、「個性を纏(まと)う」という表現をされていた。
人は、年月と共に何らかの成長をするし、その成長には、間違いなく周囲の環境が影響する。どんな人々と会ってきたか、どんな接し方をしたかが、自分をプラスにもマイナスにもするのだ。
講演の後の軽食タイムでも、積極的に学生のテーブルを回って頂いた能登氏。こんな行いが、同じ思いの人を集める能登氏の魅力かもしれない。学生からも、講演内容から政治問題まで幅広い質問が相次ぎ、その一つひとつに、丁寧に回答をしていただいた。学生が能登氏の熱さに感動した一方で、能登氏も学生の皆さんが全員帰宅した後、「何と熱い学生さんが多いことか。」と驚いておられた。ある意味で、同じ思いの人が集まったのだなと、帰宅するクルマの中でぼんやりと考えた。
冒頭の塾長挨拶にもあったように、新潟はかつて北前船の往来によって港町として栄えた。そこに根付いた文化は、経済的な繁栄はもちろん、他を思いやり、 貢献するという気質として受け継がれたのかもしれない。この土台の上に、今生きている我々は、それぞれの個性を纏(まと)い、次の世代のためなどとかっこいいことを言わずに、 自分が他のためにできることを一所懸命にやることが、次の世代が過ごす元気な地方都市「新潟」につながるのかもしれない。
新潟で、今後の未来を考える会として立ち上がった在校生未来塾。これからのイベントにも、なお一層期待が高まる、熱い夜であった。
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