NSGカレッジリーグ
第6回 志・未来塾 取材後記

期日:平成27年11月17日(火)

講師:我武者羅應援團
   団長 武藤貴宏 先生/総監督 武藤正幸 先生

テーマ:「自分を信じろ 我らは信じてる」

講師プロフィール

団長 武藤貴宏 先生
高校の応援団に入団するものの、厳しいプレッシャーに耐えられず2週間で逃げ出してしまう。卒業後もその挫折を引きずりながら過ごしていたが、そんな情けない自分にリベンジするために2007年「我武者羅應援團」を結成。AKB48選抜総選挙や CM「パズドラ」等に出演。その本気のメッセージに触れると何か一生懸命やりたくなると評判を呼んでいる。

総監督 武藤正幸 先生
我武者羅應援團において、応援内容・構成・演出・作詞作曲など、クリエイティブ全般を担当。講演家・作家としても活動しており、応援や子育てをテーマに、学びとユーモアを織り交ぜながら語る「あなたの一番の応援団はあなた」というメッセージに、心を打たれる人が続出している。著書「僕らの仕事は応援団。」大和書房など。

講演要旨・取材後記

等身大の総監督

我武者羅應援團の総監督、武藤正幸です。実は団長の貴宏とは兄弟でやっています。学ランではなくジャケットで登場したのは、この志・未来塾では、素の自分として話を聴いて欲しいと思ったからです。
皆さんは人から応援される人生と応援されない人生では、どちらがいいですか?みんな応援されたいですよね?それではここで、プロの応援団として9年間900回以上の応援をしてきた者として、どんな生き方が「応援される」のかを三つのエピソードで皆さんに教えます。

人を感動させる仕事のあり方

まず、一つ目。「行ってらっしゃいおじさん」のエピソードを紹介します。家の近所で道路工事をしているところがあるのですが、そこに警備員の方が付いています。当然、誘導のマニュアルも存在するでしょうし、その通りにしていれば悪くは思われないでしょう。ところがこのおじさんは、独自にプラスした仕事をしています。通行する人が見えた瞬間、とても低く頭を下げ、一人一人に対して心を込めてお詫びと誘導を繰り広げます。すごいと思いました。
人が感動するのは、相手の言動が自分の想像を超えたときです。このおじさんは、マニュアルをはるかに上回る誠意を警備誘導で実践している。楽なことではないと思います。でも、私は応援団をやっていて気づいたのです。楽(らく)であることと楽(たの)しいことは、イコールではありません。むしろ「楽(らく)じゃない=楽しい」とさえ言える。そういう仕事をする人を、人は応援したくなるのだと思います。

ある専門学校での気づき

二つ目。ある調理と製菓を学ぶ専門学校でのお話です。この学校では、店舗を実際に運営する実習があるのですが、終了後の反省アンケートで一年生の時にはトラブルや改善点を「◯◯さんが△△したから」という風に、他を指摘する内容で書くのだそうです。ところが、同じ実習を二年生で行うと、アンケートは「あの時に自分が××しなかったから」という風に、自分のこととして捉えた内容になるのだそうです。これが一年という期間の成長であり、プロとして求められることだと先生は言われます。
プロの現場でも、アクシデントやトラブルはゼロではない。それを「自分のこととして捉えて対応する」ことが成長で、それができる人が周囲から愛される、応援される人なのだと思います。

応援の依頼

三つ目。病気を宣告された子供を応援して欲しいという、ご両親からの依頼でした。我武者羅の動画を見て、子供が「この人たちに会ってみたい」と言ってくれたのだそうです。ところが、応援をするために事前にご両親からお話を聴いたとき、「周りで支える家族もがんばっている」ということに気づかされました。「辛い」と自分で言える人よりも、辛くても「まだ、大丈夫」という人ほど、心の中で苦しんでいる。ご両親は、まさにその状態でした。病気の子供を自分たちが支えなくてはならない、応援してあげたい。そういう人だからこそ、我々はご両親を応援したくなったのです。
もう分かりましたね。人から応援される生き方の三つ目は、人を応援するという生き方なのです。

「志」という言葉

志という言葉は、心がある方向を指すことだと思います。志のある人とは、心が指す方向に、自分を信じて進む人のことです。「こういう生き方をしたい」という強い想いがあれば、叶う・叶わない、出来る・出来ないは二の次で、その生き方をしている自分自身が好きになれます。
あなたの心は、どちらを指していますか。周りがどう言おうと関係ありません。あなた自身の人生だから、あなたの心を信じて欲しいのです。そんな生き方をするあなたを、私は応援しています。
お互い、志を持って生きていきましょう。ありがとうございました。

編集後記

就職活動キックオフの演舞を終えてすぐに駆けつけてくれた志・未来塾のステージ。我武者羅應援團の立ち上がりと、逆に「応援される生き方」を等身大で語ってくれた、演舞ではなく講演という貴重な機会となった。
物理学でいう作用と反作用のごとく、自分自身の生き方に自信を持てるから、人を応援できる、そして人を応援するから人から応援される。情熱的なエピソードの裏に、そういう「理にかなった普遍のもの」があって、武藤兄弟は、進むべき道を懸命に求めたからこそ、そこに辿りついたのかもしれない。

中島みゆきがTOKIOに提供して第48回日本レコード大賞の作詞賞を受賞した楽曲「宙船(そらふね)」には、こう書かれている。

流されまいと逆らいながら
船は挑み 船は傷み
すべての水夫が恐れをなして逃げ去っても
その船を漕いでゆけ おまえの手で漕いでゆけ
おまえが消えて喜ぶ者に おまえのオールをまかせるな

学生諸君。これは、他人の人生ではない。自分自身の、しかもたった一度しかない人生だ。自分の人生を進む船のオールは、人に任せちゃいけない。思うように進まないことを人のせいにしても、仕方がない。正しく、強く、自分の進む道を好きになれる生き方をしよう。そうすれば、きっと共感者が現れ、自分を応援してくれるのだ。
講演終了後のクルマの中で、図らずも自分の人生を足元から、改めて見つめることになった夜であった。

講演中の様子