NSGカレッジリーグ
第6回 志・未来塾 取材後記

期日:平成28年11月29日(火)

講師:我武者羅應援團
團長 武藤 貴宏
総監督 武藤 正幸

テーマ:「ガムシャラに生きる」

講師プロフィール

講師:武藤 貴宏 我武者羅應援團 團長 武藤 貴宏
高校の応援団に入団するものの、厳しいプレッシャーに耐えることが出来ず2週間で逃げ出してしまう。卒業後もその挫折を引きずりながら過ごしていたが、そんな情けない自分にリベンジするために2007年「我武者羅應援團」を結成。AKB48選抜総選挙やCM「パズドラ」等に出演。また今年行われたリオデジャネイロオリンピックではレスリングの吉田沙保里選手を応援。その本気のメッセージに触れると何か一生懸命やりたくなると評判を呼んでいる。

講師:武藤 正幸 我武者羅應援團 総監督 武藤 正幸
我武者羅應援團において、応援内容・構成・演出 応援歌の作詞作曲など、創作全般を担当。 講演家としても活動しており、応援団での経験をもとに語る 「あなたの一番の応援団はあなた」というメッセージに、心を打たれる人が続出。 詩人の谷川俊太郎氏や小説家の伊坂幸太郎氏と並び小説新潮へ寄稿するなど作家活動も精力的に行なっている。
著作 「生きる」(小説新潮) 「僕らの仕事は応援団」(大和書房)

講演要旨・取材後記


イントロダクション

 まず、皆さんに聞きたいことがあります。できることなら、ポジティブな人間になりたい人、手を上げてください。(全員挙手)
 我武者羅應援團もよく周りからポジティブですねと言われるんです。じゃあ、どうやったらポジティブな人になれるのかと言うお話を今日はお伝えしたいと思います。

ポジティブ大喜利(演者:武藤正幸先生)

 今から、ポジティブ大喜利というのを、やります。ルールは、お題に対して必ずポジティブな答えを出す事。

 お題1)あなたはミュージシャンを目指しCD制作に挑戦中。でも人脈もお金もなくて、誰も助けてくれずスタジオすら借りられません。録音がうまくいかず、くよくよ落ち込み、ため息ばかり。でも「恵まれない環境がラッキー」なのは、なぜ?

 学生の答え)
・これ以上落ちることないから、よくなるしかない。
・自分の成長につながる。今辛い状況は、未来の予行練習。

 どちらもいい答えですね。このお題、実は僕の話なんです。我武者羅應援團を始める前、僕はミュージシャンを目指してずっと活動していました。僕にはコネもお金もなくて、スタジオすら借りれない。CDを作るにはかなり恵まれていない環境でした。じゃあそんな状況で、僕はどうしたか?
 とにかく工夫をしました。安い機材でどうしたらいい音が取れるのか毎日試行錯誤しました。その経験が大人になって、メチャメテャ役に立っているんです。なぜなら、社会に出て最初から自分の望むような素晴らしい環境が用意されている、なんてことは無いからです。
 だから問われるのは、限られた環境の中で、工夫しながら結果を出す力です。そこで諦めずに工夫し続けた人が、自分の目指す夢のステージに近づけるのだと思います。
さて次です。

 お題2)あなたは、登山に挑戦します。しかし最短ルートが閉鎖されていて、遠回りをしなければなりません。遠回りの道中は辛くて、しんどくて、涙も出てきます。でも「遠回りはラッキー!」なのは、なぜ?

 学生の答え)
・いろんな景色に出会える。
・途中で松茸の大群を発見する。

 これも素敵な回答が出ましたね!確かに遠回りだからこそ出会える景色があり、遠回りしたからこそ見つけられる宝がある。さて、このお題も実は僕の話なんです。
 僕がミュージシャンになろうと思ったきっかけは、中学校の卒業式で歌った合唱曲に感動して「こんな曲を自分も作りたい」と思ったんです。だから目指す最短ルートはメジャーデビューして有名になって合唱曲に使われると言う道でした。でも実際はレコード会社やCDショップに売り込みに行っても、門前払い。
 君の曲じゃ売れないよ。そう言われて、夢を追えば追うほど、遠回りになる。だから夢を追うのも辛い状況でした。そして結局ミュージシャンへの夢は叶わなくて、我武者羅應援團になりました。遠回りというか、もはや別の道です。でも、それこそガムシャラに応援団を頑張ったんです。

 そんなとき、以前応援させてもらった学校からDVDが届きました。その中で僕が作った応援歌を卒業式で歌ってくれていたんです。涙が止まりませんでした。卒業式で歌ってもらえるような曲を作りたいと言ってミュージシャンを志してから、だいぶ遠回りをしてきました。でもこの曲は遠回りをしている日々の中で、辛くて苦しくて、そんな自分にあてて書いた応援歌でした。この遠回りがなかったらこの曲は生まれなかった。そして、今日みんなに会えたのだって遠回りをしたからこそ出会えたんです。
 遠回りをしたからこそ感じられる幸せがある。僕はそう思っています。

タイムマシン(演者:武藤貴宏先生に交代)

 我武者羅應援團の創立者である私が、社会人になった時に思っていた事。それは、「ドラえもんがいたら…タイムマシンがあったら…」という事でした。
 皆さん、もしドラえもんが現れて、一回だけタイムマシンを使っていいと言われたら、どの時代に戻って、何を修正したいですか?私は高校1年生の春、自分の高校のクラブ活動紹介で熱心に演舞する応援団と出会い入団しました。ところが、新入生は自分ひとりだけしかおらず、そればかりか、応援団に入った私の決断に対する周りの反応も微妙なものでした。それを敏感に感じ取り、自分の心にブレーキをかけてしまい、練習を休むようになりました。追いかけてくる先輩から逃げるような日々が続いて、そんな生活をする自分が嫌いになりました。そうするとどんなことにも消極的になるという、マイナスの連鎖です。だからタイムマシンに乗って私が変えたいと思っていたのは、応援団から逃げた事でした。

 そんな折、私の父が急死してしまいました。自分の命も限りがあると思った私は「生きているうちにやりたかった応援団をやってみよう」と思ったのです。でもやったことがなかったのでたくさん失敗しました。うまくいかないことだらけでした。でも今、私は自分にしか生きられない人生を生きています。だから、とても幸せです。
 今ではもう「ドラえもんがいたら…タイムマシンがあったら…」と考えなくなりました。なぜなら 今の自分があるのは苦しかった高校時代のおかげだからです。過去に起こった事実は変わらない、でも一歩踏み出せば過去の意味が変わるのです。

応援される人の共通点(演者:武藤正幸先生に交代)

 今まで10年間で1,000回以上の応援をしてきました。これまでの応援の経験から、わかった事があります。それは、応援される人には共通点があるという事です。

 1つ目。応援される人は、必ず誰かを応援してる人だということです。つまり、与える側の人。じゃあ、誰かを応援するって、どうすればいいか。頑張れという言葉は素敵な言葉だけど、人によっては嫌う人もいる。それは、主語が「あなた」だからだと思います。しかも、命令形。そこで、一文字だけ足してみます。「頑張れる。」これによって、主語は「あなたは、頑張れる」と思っている「私」になる。そうやって主語を自分にして、相手を信じる。それが本当の意味での応援なのだと思います。

 共通点の2つ目です。それは、未来の自分を喜ばせるように生きる人。今の自分を喜ばせると、人間は楽な道に進みます。できれば問題も先送りしたくなります。でもそうやって困難から逃げんている人を応援したいと思うでしょうか?思いませんよね。
 じゃあ未来の自分を喜ばせる。そんな意識で生きたらどうでしょうか?苦しくても、今やりますよね。怖いけど一歩踏み出そうと思いますよね。そうやった目の前の困難から逃げずに、立ち向かう人のことを周りは応援したくなるんです。

あなたの応援団

 そして最後に伝えたい。
 あなたのことを誰よりも応援している人が、この会場にいるんです。
 誰だかわかりますか?
 あなたです。
 あなたほどあなたの人生と向き合ってきた人はいない。
 あなたほどあなたを応援したいと思っている人はいない。
 あなたの一番の応援団は、あなた自身です!
 自分で自分にエールを送れる、そんな生き方を、僕たちは応援しています。ありがとうございました。

編集後記

 團長も、総監督も、過去に駄目だった自分を乗り越えて(というか、それを土台にして)、今の我武者羅應援團が存在している。そんな生き方を、ポジティブに考えるという切り口で、学生に伝えてくれたのだろう。

 東日本大震災の翌年、中島みゆきがリリースしたアルバムに「倒木の敗者復活戦」という楽曲が収録されている。「倒木」が「東北」として聞き取れると、話題になった。後に彼女自身も「否定するものではない」とコメントしている。

 打ちのめされたら 打ちひしがれたら 値打ちはそこ止まりだろうか
 踏み倒されたら 踏みにじられたら 答はそこ止まりだろうか
 光へ飛び去る翼の羽音を 地べたで聞きながら
 望みの糸は切れても 救いの糸は切れない
 泣き慣れた者は強かろう 敗者復活戦

 学生諸君。君達の多くは10代、20代。挑戦すればするほど、これから多くの失敗をするだろう。打ちのめされても、踏みにじられても、君達自身の値打ちがなくなるわけではない。だから、恐れなくていい。むしろ失敗を土台にして「敗者復活戦だ!」と思って前へと進め。その時に踏み出した一歩こそが、未来というものなのだ。

講演中の様子