カナエルチカラ。29の専門学校。NSGカレッジリーグ

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第3回NSGカレッジリーグ在校生未来塾 取材後記

2月13日、第3回の在校生未来塾として、「新潟美少女図鑑」を創刊した株式会社テクスファームの代表取締役社長である近藤大輔さんをゲスト講師としてお迎えし、約90名の学生を対象としてご講演いただいた。

演題は、「新潟美少女図鑑が全国に広がった理由 ~非・常識的に考えよう~」であった。

「新潟美少女図鑑」といえば、設置してすぐに全部なくなるほどの人気フリーペーパーとして知られており、同様の仕組みが”東京以外の街”にも及んでいる。TV番組で取り上げられたことで人気が急拡大したようで、最近では上海やシンガポール等の海外都市にも同様の動きが見られるとのこと。正直なところ、ここまでの人気ぶりは、知らなかった人も多かったのではないか。


近藤氏は、アルバイト(洋服の販売)が楽しくて高校を中退、新潟駅南口周辺に洋服店を開いた。既にこの時から、「非・常識」ぶりを垣間見ることができる。その後、店を閉めて再起業したデザイン会社では、東京発だからカッコイイという”ダサさ”を打ち砕きたいという考えで美少女図鑑を創刊したそうだ。

この媒体を通して、近藤氏が実現したかったことは2つ。

一つは、地元のファッション業界や美容業界が注目されるようにすること(ファッションの地産地消)。なまじ上越新幹線という東京へのアクセスが整備されたために、東京に行くことへの抵抗が少なくなり、結果として新潟にいることの価値観が低下した。しかし、新潟にはもっと注目されるべきサービスが存在したのである。そこに着目させることに、媒体を通して取り組んだのだそうだ。

もう一つは、安売りをして自らの価値を落としてはいけないという提言。これは、店舗の安売りクーポンを掲載しないという形で実現されており、今の日本の経済状況から見失いがちな点だと感じる。これに関連して、つい最近話題になった安売りクーポンの事件を思い出さずにはいられなかった。

講演を通して近藤氏の言葉の奥にあったものは、自分自身を見つめ直すこと、そして大切な一つを深掘りすることだったのではないか。


情報化社会と呼ばれるようになって久しい。その気になれば、大量のデータに気軽にアクセス出来る。そんな時代だからこそ、我々は周囲と同じ情報を掴んで、それに満足してしまいがちだ。周りの考えや行動に、「だからどうした、俺は(私は)こうだ」と思えるほどの「自己」こそが、大切なのではないか。

学生から、「美少女図鑑」の収益モデルについて質問があがった。発行頻度や無料であること、店舗のクーポン掲載もないことから、当然注目する点であろう。近藤氏は、あっさりと「版権ビジネス」であることを明かした。このモデルは、新潟にいながら世界を相手に出来る形の一つと考えることができる。そのための道具としてなら、インターネットや発達した物流網も心強い味方となり得るし、東京に拠点があることの必然性も、それほど高くはない。


「地方都市だから不利」「首都圏だから有利」という考え方は、もしかして過去のものとなりつつあるのかもしれない。そう考えると、何かに取り組むにあたって、気楽になるし肩の力が抜ける。そんな気づきをもらえた、充実の夜であった。

近藤氏は毎年、第30代アメリカ合衆国大統領(カルビン・クーリッジ)の言葉を、毎年元旦に、その年に使う手帳の最初に書き込むそうだ。そこには、こう書かれている。

【この世に継続に勝るものは無い。才能も、教育も、継続に勝ることはできない。継続と決意こそが絶対的な力なのである。】


このカルビン・クーリッジは演説の名手であり、当時の最新メディアであるラジオを使って演説を行った最初の大統領であることでも知られる。今後、NSGカレッジリーグの在校生から未来の地方都市を担う起業家が誕生すれば、近藤氏の未来塾での講演は、ひとつのエピソードとして語り継がれるかもしれない。そんな未来を期待してやまない。