お役立ちコラム
2021年12月8日(水)
調理師になるためには、調理師免許が必要です。「将来は自分のお店を持ちたい」、「海外で活躍するシェフになりたい」、「調理の仕事をしたい」と考えている人は、持っておいた方が良い資格でしょう。
しかし、調理師免許の取り方がわからなかったり、試験の難易度について不安に思っている人もいるのではないでしょうか。
この記事では、調理師試験の受験資格や難易度、進学と独学の違いについて、詳しく解説します。
調理師免許とは、調理や栄養バランス、衛生管理、食文化など、食についての幅広い知識と技術を持っていることを証明できる資格です。
調理師免許は国家資格であり、「調理師法」によって資格が定められています。
都道府県に申請し、調理師免許を取得すると、「調理師」として働くことができます。
調理師の目的は、「国民の食生活の向上を助けること」です。
おいしい料理を作れるだけではなく、食の安全性や衛生管理の知識も豊富なため、レストランやホテルなどの飲食店、保育園や学校などの教育施設、食品会社での商品開発など、幅広い分野で資格を活かした仕事ができます。
飲食店などで働く時、調理師免許は必ずしも必要ではありません。
しかし、「調理師」として働くためには、調理師免許が必要です。
ここでは、調理師免許を持っていた方が良い理由について紹介します。
飲食店によっては、調理師免許を持っている人しか採用しないところがあります。
また、調理師免許を持っていることで信用度が上がり、採用に有利な面もあります。
調理師免許を取れば、就職の幅が広がるため、自分の可能性も広がるでしょう。
調理師免許を持っていることで、知識と経験があると判断され、給与が上がる可能性があります。
また、未経験の人と比べて、任せてもらえる仕事が増えることもあるかもしれません。
将来、自分のお店を開く時には、「食品衛生責任者」の講習を受ける必要があります。
調理師免許を持っていれば、衛生に関する知識があるため、講習会の参加が不要です。
このように、調理師免許を持っているとさまざまなメリットがあります。
将来、食に関するエキスパートを目指す人にとって、調理師免許は必須といえるでしょう。
調理師免許の取り方には、2つの方法があります。
1.都道府県が指定した専門学校などに1年以上通い、卒業と同時に調理師免許を取得する。
2.飲食店などで2年以上働いたあと、「調理師試験」を受験し、調理師免許を取得する
それぞれ順に説明します。
調理の専門学校や短大、4年制の大学などに通い、調理や栄養、衛生に関する知識や技術を学びます。
卒業時、卒業証書などと一緒に調理師免許証をもらい、卒業後すぐに「調理師」として働くことができます。
短大や大学は卒業までに2年以上かかりますが、専門学校では最短1年で卒業できるところもあります。
「資格をとるのに、試験を受けなくてもいいの?」と思う方がいるかもしれませんが、認定された学校では、調理師に必要な技術や知識をすべて学ぶことができるため、試験を受けなくても、調理師免許の取得が可能となります。
専門学校などに通わず、独学で調理師免許を取る方法です。
調理師試験は、誰でも受けられるわけではなく、受験するためには「調理の実務経験が2年以上あること」が条件となっています。
飲食店など2年以上調理の仕事をしたあと、各都道府県で行う調理師試験を受験し、合格後、調理師免許を取得することができます。
専門学校などに通う場合、卒業と同時に調理師免許をもらえるため、実務経験は不要です。
独学で調理師免許を取得する場合は、「2年以上の実務経験」が必要となります。
実務経験を積む場所は、どこでも良いわけではありません。
「調理師法」で、対象となるお店や条件が定められています。
ここでは、実務経験の対象となる仕事や条件について説明します。
・飲食店
レストランやホテルの厨房などです。
旅館やゲストハウス、ペンションなども対象です。
基本的に店内で調理を行わない「喫茶店営業許可」の喫茶店やカフェは、対象施設として認められません。
・魚介類販売業
スーパーなどで魚をさばいたり、加工したりする仕事も実務経験の対象となります。
ただし、販売だけを行っている場合は認められません。
・そうざい製造業・複合型そうざい製造業
「そうざい製造業」や「複合型そうざい製造業」の営業許可をとっているスーパーやお弁当屋さんでの調理も実務経験となります。
・学校や病院、寮などの給食施設
学校や病院、寮の調理施設で働く場合は、継続して1回20食以上、または1日50食以上調理する施設が対象となります。
・必要な勤務日数
週4日以上、1日6時間以上勤務することが必要です。
正社員以外のパートやアルバイトの勤務期間も、実務経験となります。
・勤務日数の数え方
2か所以上で仕事を行った場合、勤務時間を合計して2年を超えれば受験資格があります。ただし、同じ期間にかけもちで仕事をした場合は、合算できません。
・実務経験として認められない期間
定時制・通信制以外の高校に通っている場合、在学中のアルバイトは実務経験の期間には入りません。
また、海外の飲食店で働いていた期間も、職歴とみなされないため注意が必要です。
通常、調理師試験は年に1回で、都道府県ごとに行います。
例年、試験日程は10月ですが、ほかの月に実施することもあります。
受験料は6,100円から6,400円です。
申請方法や試験会場などは各都道府県によって異なるため、受験の際は、調理技術技能センターのホームページで確認してください。
調理師試験は筆記試験のみで、実技はありません。
試験時間は2時間で、全部で60問あります。
記述式の問題はなく、すべて4択のマークシート方式です。
試験科目は、公衆衛生学、食品学、栄養学、食品衛生学、調理理論、食文化概論です。
専門知識が必要なため、きちんと勉強しないと合格できません。
・公衆衛生学
社会全体の健康問題を考える分野です。
日本や世界の公衆衛生、感染症や生活習慣病の予防、健康に関する国の制度などの問題が出題されます。
・食品学
食品の栄養成分や味、色、香りなどの基礎的なことを学ぶ分野です。
米、肉、野菜など食品の栄養成分に関する問題が出題されます。
・栄養学
食品の栄養素や働きを学ぶ分野です。
たんぱく質、炭水化物、脂質、ビタミン、ミネラルの5大栄養素に関する問題や健康に生活するための食品の摂取方法などについて出題されます。
・食品衛生学
食中毒の防止や食品添加物など、食の衛生や安全性について学ぶ分野です。
食中毒の原因となるウイルスや細菌、殺菌・消毒方法、食品衛生に関する法律などについて出題されます。
・調理理論
調理の実践に必要な知識を学ぶ分野です。
食品の知識や基本的な調理方法、調理器具の特性などについて出題されます。
・食文化概論
日本の食文化や郷土料理、世界の料理について学ぶ分野です。
各地域の郷土料理や世界の料理、食に関する法律などについて出題されます。
調理師免許の難易度は、ほかの国家資格と比べればそれほど難しくはありません。
合格の基準は、全科目の合計得点が6割以上であるとされています。
ただし、1科目でも平均点を大幅に下回る場合は不合格となります。
つまり、「苦手な分野は勉強しない」と考えていると、合格できません。
出題される分野は、調理師として必要な知識のため、バランスよく勉強することが大切です。
調理師免許の合格率は、2018年は61.6%、2019年は66.4%、2020年は70.2%となっています。毎年、6割から7割の方が合格しています。
調理師になるには、専門学校などに進学し、卒業と同時に調理師免許を取得する方法と、独学で勉強し、試験を受ける方法があります。
ここでは、それぞれのメリットについて紹介します。
専門学校に通えば、最短1年で調理師免許を取得することもできます。
多くの場合、卒業式の日に免許をもらえるため、卒業後すぐに「調理師」として働くことができます。
独学の場合、実務経験で2年、調理師試験の申し込みから合格まで半年以上かかります。
最短で調理師免許を取りたい場合は、専門学校がおすすめです。
専門学校では、調理実習だけではなく、調理師免許に必要な衛生管理や食文化などの分野も1から勉強することができ、調理師としての基礎がしっかり身につきます。
また、自分が目指している分野以外のことも勉強できるため、食に対する視野が広がります。
就職先を自分で探すことは大変です。
専門学校では学生の就職に力を入れているため、働くためのビジネスマナーの研修や就活のサポート、就職先の紹介を行ってくれます。
また、在学中にインターンシップを行い、卒業後にインターン先で働くこともあります。就職のサポートが手厚いため、自分に合った就職先を見つけやすくなるでしょう。
一流ホテル・専門店への就職を目指すのであれば、高倍率の就職試験を突破するノウハウや、先輩/学校からの推薦を必要とする場合があるため、調理系専門学校への進学がおすすめです。
働きながら調理師を目指す場合、勉強して覚えた知識を実体験と関連づけて習得することができます。
例えば、食品衛生学では食中毒の防止や消毒方法を覚えなければなりませんが、「実際にお店のマニュアルがどうなっているのか」、「予防するためにどんなことを行っているか」実際に働きながら覚えることができるため、知識が定着しやすいでしょう。
調理の仕事では、仕事の細かなやり方や臨機応変な対応など、働き始めてから習得することもたくさんあります。
現場の経験を積んでいれば、調理師として働く時にも仕事の流れをつかんでいるため、即戦力として働くことができます。
調理師を目指す方に対して少しでも参考になればと、国際調理製菓専門学校(Food)に通う髙橋鈴香(健康給食学科/十日町高校出身)さんに、気になるあれこれを聞いてみました。
A:中学の職場体験でレストランに行ったことがキッカケで、幅広い知識を持った調理師になりたいと思うようになりました。調理技術だけでなく食材についての知識を身に付けることができる「食材教育」にも力を入れていることを知りFoodを希望しました。
A:基礎技術や知識の習得だけでなく、“食材教育”の授業があります。「魚沼産コシヒカリ」の稲作体験(田植え・草取り・稲刈り)を通して、「どうやって作られた」ではなく「どんな苦労があるのか」までを体験することができたので、食材について様々な角度から知ることができました。「食の基本は食材を知ること」を念頭に生産者の想いも料理で届けたいです。
A:調理師を目指す学科がいくつかある中で「健康給食学科」を専攻しています。離乳食から介護食まで様々な対象者別の調理法を学んでいます。実践的な授業が多く、こども園の園児が喜ぶ料理を作り実際に食べてもらったり、健康食レストランを運営したり、レシピ考案に携わることが多いです。将来は給食センターなどで働きながら、幅広い年代の人たちに「食は楽しい」ということを給食を通して伝えることにチャレンジしていきたいです。
将来、食に関する仕事をしたいと考えているなら、調理師免許を取得するのがおすすめです。
調理師免許は、働くうえで必ずしも必要なわけではありませんが、取得すれば「食のプロ」としての知識や技術が身につきます。また国家資格のため、社会からの信用度も高いです。
調理師の資格を取得するためには、独学で2年経験を積んだあとに試験を受けるか、専門学校などに1年以上通い、卒業する方法があります。
それぞれのメリットを比較し、自分に合った方法を選びましょう。
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